漢字の払いの重複は避けると美文字

漢字を美しく書くための要素『払いの重複は避ける』という原則をご紹介します。これは美文字にとってワンランク上のテクニックと言えます。絶対ではないのですが、知っておいて損はないので実践してみてください。

 

「『払いの重複は避ける』という原則」と書きましたが、これは書道の世界で言われていることです。原則なので、書道の世界では実践した方が良いでしょう。一般的にも大人の美文字を目指すなら実践してみましょう。

 

『払いの重複は避ける』とは1つの文字に二つの右払いが存在する場合です。

二つの右払いが存在する漢字の例

 

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漢字の払いの重複は避けると美文字

二つの右払いがある場合は、1つをトメてしまいます。こうすることで文字に変化が生まれます。実際、こちらの文字の方が好ましいとされています。

 

小学生に教える場合
小学校の場合、学校の先生の認識度合いに寄りますが、教科書に書かれた字形以外で書くと【×】をもらう可能性があります。本当は学校の先生全てに認識しておいてもらいたいのですが、先生も忙しいので仕方が無いのでしょう。可能性があることにご注意下さい。

 

『養』

 

『養』の払いの重複は避ける

 

養の文字は『払いの重複』の例としてとしてとても分かり易い文字です。良の右払いを止めることが多いですが、逆に八の右払いを止めている人もいます。

 

『炎』

 

『炎』の払いの重複は避ける

 

炎は火が上下に重なった文字なので、これも分かり易い例と言えるでしょう。やはり上の火の右払いを止めるのがセオリーです。

 

『返』

 

『返』の払いの重複は避ける

 

返はとても混乱させる文字です。小学生の教科書は『払いの重複は避ける』は無視されています。そのために、小学生用の漢字辞典を見ると、反の右払いはそのまま掲載されています。ところが、止めてある小学生用の漢字辞典もあります。当然、止めた方が好ましいです。

 

『奏』

 

『奏』の払いの重複は避ける

 

奏の天も、右払いのままの辞書と止めてある辞書が混在します。手書きの場合、やはり止めた方が好ましいでしょう。

 

『秦』

 

『秦』の払いの重複は避ける

 

秦は辞書には右払いで書かれいます。しかし、やはり止めた方が好ましいです。奏と似ていますが、やはり大きな右払いと並べるのはバランスがとりづらくなります。

 

 

例として5つの文字を解説しましたが、右払いの重複はあっても無くても誤字ではなく正しい文字です。それだけ、漢字は許容が広いということです。

 

『払いの重複は避ける』事は文字にとって好ましい事ですが、絶対ということもありません。そのために、上級者は状況によって書き分けたりもしています。

 

さらなるハイレベルな美文字を目指すとき、そんな文字の許容についても意識してみてはいかがでしょうか?